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スコティッシュフォールドは何の掛け合わせ?国やたれ耳立ち耳の原因

What is Scottish Fold?

スコティッシュフォールドは、どのような猫種を掛け合わせて誕生した猫種なのでしょうか。

出身の国やたれ耳だったり立ち耳だったりする原因も知りたいところですよね。

今回の記事では、スコティッシュフォールドが誕生するまでに至る掛け合わせの歴史と、国による考え方、たれ耳や立ち耳の原因について紹介いたします。

スコティッシュフォールドの国と現在

スコティッシュフォールドの子猫

スコティッシュフォールドの生まれた国はスコットランド(イギリス)です。

スコティッシュフォールドは、たれた耳が特徴的でかわいらしい印象が強いですが、耳がたれているということは、生まれつき骨に異常があるということであり、病気にかかりやすく、寿命が短いということです。

ですから、イギリス獣医師会や欧州愛玩動物獣医師会連盟などは、繁殖に対して否定的な立場を示しています。

実際、イギリスでもっとも大きな猫の血統登録機関(育猫管理評議会GCCF)では、スコティッシュフォールドを繁殖させることは認められていません。

ベルギーでは、2021年10月1日以降、スコティッシュフォールドの繁殖と販売が禁止されるようになりました。

それ以前から、すでに飼育していた猫については飼育を続けることに問題はありませんが、2021年10月1日以降は、販売はもちろん無償譲渡も違法となっています。

スコティッシュフォールドは何の掛け合わせ?

スコ座りするスコティッシュフォールド

スコティッシュフォールドのルーツは、スコットランドのスージーという折れ耳の白い猫が発見されたことから始まりました。1961年のことです。

その農場は近隣の農家から離れた位置にあり、そこの猫たちは親兄弟であれ自然のうちに交配していたと思われています。いわゆる近親交配の結果としての奇形の一種が折れ耳だったのです。

スージーらの子孫がアメリカに渡って(一説には猫血統の研究のためという)その見た目のかわいさから人気を集めます。

ところが欠点がありました。

スコティッシュフォールドの子猫が成長する過程で膝関節が腫れて歩けなくなったり、しっぽや足の指に奇形があったり内臓疾患を持っていたりする猫が生まれるのです。

関節が腫れて歩けなくなるほどになると我慢強い猫でも痛い痛いといって泣き暮らすことになります。

スコティッシュフォールドにはスコ座りという流行り言葉がありましたが、これは後ろ脚の膝関節が腫れていて曲げられないあるいは痛いから後ろ足を投げ出し、何かに寄り掛かるように座っているのです。

スコ座りをかわいいといって済ませられるのでしょうか?

これらのことからアメリカでスコティッシュフォールドの繁殖には、条件が設けられるようになりました。

折れ耳どうしの交配はしない。

奇形のある猫は繁殖に使わない。

アメリカンやブリティッシュとの異種交配をすること。

などです。

つまり最初は、普通の耳をもった猫やブリティッシュショートヘアの猫と交配させて折れ耳の猫を増やしていきましたが、

近親交配の奇形であったことからイギリスの猫協会では血統猫と認められませんでした。

その後、アメリカに渡ってスコティッシュフォールド繁殖計画プログラムが確立されて以降は、アメリカンショートヘアーと交配されました。

スコティッシュフォールドで骨異常のない健康な猫が生まれるようになると、1978年にはCFA※に血糖猫として登録されます。

CFAとは The Cat Fanciers' Associationの略

アメリカに本部を置く世界最大の血糖猫登録団体

スコティッシュフォールド折れ耳立ち耳の原因

寝ている折れ耳のスコティッシュフォールド

 

耳が折れている子と、耳が立っている子がいるスコティッシュフォールド。

同じ猫種なのに、どうして耳の状態が違うのか、気になりますよね。

実は、スコティッシュフォールドの耳が折れている原因は、骨瘤という遺伝性の骨の病気によるものなのです。

骨瘤の遺伝子は、親猫から子猫へと確実に遺伝していくため(優性遺伝)、親が折れ耳なら子どもも折れ耳になってしまいます。

スコティッシュフォールドの折れ耳の原因は軟骨の変形によって耳を支えられないことから起こっています。

骨軟骨異形成と呼ばれる軟骨の形成不全が原因であることがわかっています。軟骨の形成異常は耳だけではなく体の軟骨部位にも痛みを伴って発生することもわかっています。

スコティッシュフォールドの折れ耳の猫は骨瘤の病気を持った奇形猫なので、折れ耳同士の交配は禁止されています。

骨瘤は成長とともに骨が変形していき、耳だけではなく、全身の骨に障害が出る病気なのです。

折れ耳のスコティッシュフォールドには骨の異常が現れるのですが、決定的な治療法は確実にはありません。

猫が生涯、痛みに苦しむことを考えれば、見た目がかわいくても悩んでしまいますよね。

健康上問題のないスコティッシュフォールドを増やすために、発足したアメリカの繁殖計画プログラムでは、健康なブリティッシュショートヘアやアメリカンショートヘアと交配させています。

 また、折れ耳の種類が目立つスコティッシュフォールドですが、現在では意外にも立ち耳の子が7割を占めると言われています。

耳が立っているスコティッシュフォールド同士をかけあわせて繁殖したら、耳が折れているスコティッシュフォールドは生まれません。

耳が立っているスコティッシュフォールドには、骨異常の遺伝子はありませんので、特段、病気の心配をする必要もありません。

耳が立っているので耳の通気性も良く、耳の病気になる確率もありません。

ですから、今後は、立ち耳のスコティッシュフォールドが増えていく可能性が高いのでしょうか。

スコティッシュフォールドは何の掛け合わせ?国やたれ耳立ち耳の原因まとめ

スコティッシュフォールド

今回は、スコティッシュフォールドは何の掛け合わせなのかということやたれ耳だったり立ち耳だったりする原因についてまとめました。

スコティッシュフォールドの原点は、スコットランドで生まれたスージーという折れ耳の一匹の白猫でした。

その後、ブリティッシュショートヘアやアメリカンショートヘアと掛け合わせていくことで、スコティッシュフォールドという猫種を確立させました。

しかし、折れ耳のスコティッシュフォールドは、骨の病気であり、健全な個体ではないため、動物愛護の観点から繁殖を認めていない猫登録協会や国もあります。

日本では現在も折れ耳の猫の需要があるため繁殖はされているようですね。

折れ耳の猫が全て何らかの病気を発症するとも言えませんが、軟骨異形成によって痛みを伴う骨異常を抱えた猫を繁殖させるのはどうなのでしょうか?

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